
JALの「どこかにマイル」を申し込んで、行き先が岡山に決まった。
正直に言うと、決定メールを開いた瞬間の感想は「岡山か」だった。帯広でも旭川でもない。特別にテンションが上がる場所ではない。
さらに、割り当てられた便がこれだった。
- 行き:羽田 14:30 発 → 岡山 15:45 着(JAL237)
- 帰り:岡山 12:20 発 → 羽田 13:40 着(JAL236)
1泊2日といっても、岡山にいられるのは正味20時間ほど。初日は夕方から、2日目は昼前には空港へ向かうことになる。「フライトの時間が微妙だなあ」というのが、出発前の率直な気持ちだった。
結果としてまわれたのは、倉敷美観地区と岡山後楽園の2つだけ。岡山城は外から眺めただけで、吉備路も児島も行っていない。
それでも、この旅はかなり良かった。この記事は「岡山を効率よく全部まわる方法」ではなく、便を選べないどこかにマイルで、実際にどういう1泊2日になるのかの実録です。
ちなみに「行き先が分からないまま出発する旅」という意味では、以前やった東海汽船のミステリーきっぷとかなり近い感覚だった。あっちは往復5,500円で伊豆諸島のどこかへ。乗り物は違っても行先がわからないドキドキは同じ。
そもそも「どこかにマイル」:行先も便も選べない

JALのマイルの使い道のひとつ「どこかにマイル」。通常の国内線特典航空券は路線によって往復9,000〜21,000マイル必要なところ、どこかにマイルなら行き先に関わらず一律7,000マイルで往復航空券に交換が可能。
仕組みはシンプルで、申し込み時にJALから4つの行き先候補が提示され、そのなかから3日以内に1つが決定して通知される。行き先は選べない。ここが最大の特徴であり、最大の弱点でもある。
注意点として、利用できるのは東京(羽田)、大阪(伊丹・関西)、福岡、札幌(新千歳・丘珠)発着の路線に限られる。また、申込完了後の変更はできず、キャンセルしてもマイルは返ってこない。ここは通常の特典航空券と決定的に違うので、日程を確定させてから申し込むこと。
※必要マイル数や除外日は改定されることがあります。最新情報はJAL公式でご確認ください。(基本的にお盆とか連休は利用不可のことが多い)
便は選べない。時間帯だけ選べる
ここが今回の旅の前提になるので、少し詳しく書いておく。
申し込み時に出発時間・到着時間を5つの時間帯から選ぶことはできる。ただし、選べるのは時間帯までで、具体的な便は選べない。行き先が決まると同時に便名まで確定して通知される。
つまり僕が乗った14:30発・12:20発という便は、自分で選んだものではなく、与えられたものだった。ここが後半の話につながってくる。
まあ、選べるシステムにはなってるけど時間帯を指定すると大体予約できません。名ばかりの選択肢です。役席にのみに誘われたら選択肢あるのか?みたいなもんです。
通常の特典航空券だったら、いくらだったのか
旅から帰ってきて気になったので、同じ便を通常のJAL国内線特典航空券で調べてみた。
| 路線 | 必要マイル数 |
|---|---|
| 通常の特典航空券(羽田→岡山・片道) | 7,500マイル |
| 通常の特典航空券(岡山→羽田・片道) | 7,500マイル |
| 通常・往復合計 | 15,000マイル |
| どこかにマイル(往復) | 7,000マイル |
差は8,000マイル。半分以下で利用できる。しかも現金で取ると片道1万円〜なので、往復でざっくり2万円。それを7,000マイルで飛んだ計算になる。
1マイルあたりの価値でいうと、およそ2.8円。 通常の特典航空券(15,000マイル)で同じ便に乗ると1マイル1.3円ほどなので、どこかにマイルは倍以上のレートで使えたことになる。マイルの使い道としては、かなり上位のほうだと思う。
「行き先が選べない」という制約に、マイル半額以上の価値をどう見るか。普段から特典航空券を取っている人ほど、この差は大きく感じるはずだと思う。
ちなみに大学生ならもっと価値を持ちます。理由はこれ
実際の時間割(全行程)
正味20時間で、実際にこう動いた。
1日目
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 14:30 | 羽田発(JAL237) |
| 15:45 | 岡山桃太郎空港 着 |
| 〜16:30 | リムジンバスで岡山駅西口へ(約30分) |
| 17:00 | デミカツどん食べた |
| 〜18:00 | JRで倉敷駅へ(約15〜20分) |
| 17:15〜 | 倉敷美観地区を散策 |
| 夜 | 岡山市内へ戻り、ドーミーインで就寝 |
2日目
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 朝 | ドーミーインの朝食 |
| 午前 | 岡山城(外から軽く)→ 岡山後楽園をしっかり散策 |
| 〜11:00 | 岡山駅へ戻る |
| 〜11:30 | リムジンバスで空港へ |
| 12:20 | 岡山発(JAL236) |
| 13:40 | 羽田着 |
観光に使えたのは、初日の夕方3時間弱と、2日目の午前2時間半だけ。ここに岡山城の内部見学や吉備路、児島を入れるのは物理的に無理だった。
空港から市内へ|リムジンバスは西口に着く

岡山桃太郎空港から市内へは、リムジンバスがほぼ一択。鉄道の乗り入れはない。
| 区間 | 運賃 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 空港 → JR岡山駅(ノンストップ便) | 1,000円 | 約30分 |
| 空港 → JR岡山駅(経由便) | 950円 | 約30分 |
| 空港 → 倉敷駅北口 | 1,400円 | 約35分 |
予約制ではないので、直接のりばに向かえば乗れる。交通系ICカードも使える。
ひとつ知っておくといいのが、降車場所が岡山駅の「西口(運動公園口)」だということ。ドーミーインを含め、市内のホテルや繁華街は反対の東口(後楽園口)側にある。地下通路で抜けられるが、初見だと少し戸惑うのはご愛敬。
倉敷に直行するという選択肢もあった
空港からは倉敷駅北口への直行バスも出ている。 1日8便程度と本数は限られるが、これに乗れば岡山駅を経由せずに倉敷へ入れる。所要35分。
僕は岡山駅経由にしたけれど、初日を倉敷に全振りするなら直行バスのほうが30分ほど早く着く。夕方着で美観地区の店に間に合わせたい人は、こっちを検討する価値がある。
デミかつどん(野村)

岡山駅に着いてまずやったのが、デミカツ丼を食べること。
とんかつにデミグラスソースという組み合わせは、聞いた時点では「合うのか?」と思うのだが、食べてみるとちゃんと成立している。ソースカツ丼ともカツ丼とも違う、第三のカツ丼。まあ、知ったことのある味よ。
夕方の倉敷美観地区は「店が閉まっている」

岡山駅から倉敷駅までJRで約20分、そこから美観地区までは徒歩約10分。移動のハードルは低い。
そして案の定、着いた時点で、多くの店はもう閉まっていた。
デニムストリートは閉店していた
倉敷といえばデニム。倉敷デニムストリート。当然閉まっていた。実際興味はなかったのでがっかりはしてないが、青い肉まんを少し食べてみたかった。お店目当てに倉敷に行く人は美観地区周辺の物販店は、17時〜17時半頃には閉まり始めると思っておいたほうがいい。
買い物や食べ歩きが目的なら、夕方着で倉敷に行くのは向いていない。
どこかにマイルは便を選べないので、こればかりはコントロールできない。ただ、もし初日の到着が夕方になったら、倉敷での買い物は最初から諦めて2日目にまわすか、目的そのものを切り替えるべきだと思う。
ただし、街としては夕方のほうが良かった

一方で、街並みそのものを見に行くという意味では、夕方はかなり当たり。
日中の美観地区は観光客が多い。でも17時を過ぎると人が一気に引いて、倉敷川沿いに柳と白壁だけが残る。歩いているのはほとんど地元の人か、僕と同じような手ぶらの観光客だけ。「絵になる町並みを見に来た」なら、静けさごと味わえる夕方のほうが体験としては上だと思う。
写真も撮りやすい。日中は人の写り込みで構図を選ぶのに苦労するらしいが、夕方はほぼ好きに撮れた。
しかもこの日は雨上がりで、石畳が濡れて余計に雰囲気が出ていた。晴れている倉敷を知らないので比較はできないけれど、これはこれで当たりだったと思う。
こういう「静かな場所を一人で歩く時間」は、ひとり旅のいちばんおいしいところだと個人的には思っている。誰かと来ていたら、たぶん閉まった店の前で「どうする?」と相談して終わっていた。

美観地区の一角に、なぜか相場の見通しが書いてあった。外国の方が翻訳アプリを向けて頑張って読んでいたけれど、翻訳した先が相場観だと知って困惑しただろうな。
結論:夕方の倉敷は「見る」ならアリ、「買う」ならナシ
- 町並みを見る・写真を撮る → 夕方は静かでむしろ良い
- 買い物・食べ歩き・大原美術館 → 夕方着では成立しない
僕は前者だったので満足したが、デニム製品を買うつもりだった人には物足りないはず。目的次第で評価が真逆になる。
ドーミーイン岡山(吉備の湯)の正直レビュー

宿は倉敷ではなく岡山市内にした。というのもなんとなく市内に泊まっとくと便利なのでは?と思ったから。
泊まったのは毎度おなじみ「天然温泉 吉備の湯 ドーミーイン岡山」。JR岡山駅東口から徒歩約6分最上階11階に男女別の天然温泉大浴場がある。
自分は旅行先でのホテルはほぼドーミーイン一択。温泉もごはんも魅力的なのでマーケティングに負けた。 → ドーミーインの魅力を10泊以上した経験からまとめた記事はこちら
大浴場が想像の1.2倍良かった
内湯は岡山県の下湯原温泉から直送する天然温泉。サウナには男女ともセルフロウリュが導入されていて、水風呂は深さ90cm、外気浴スペースにはミストシャワー「ととのい増強レバー」が設置されている。
ビジネスホテルの大浴場としては明らかに過剰装備で、正直これ目当てで泊まってもいい。移動続きで固まった体が、ここでいったんリセットされた。
自分はサウナよりも温泉目的で利用することが多い。純粋に温泉としても好きなホテル。ちなみに今まで入ったドーミーインの温泉で一番好きなのは帯広のモール温泉。あの茶色いお湯は他では代えがきかない。
朝食のご当地感がとてもLOVE

朝食は全国共通の和洋バイキングに加え、岡山の郷土料理「岡山ばら寿司」と「鰆(さわら)のたたき」が並ぶ。左のやつは「きび団子」!
これが弾丸旅行には嬉しい。初日は倉敷を歩いただけで、岡山らしいものを食べ損ねていた。それを翌朝の朝食で回収できた形になる。滞在時間が短い旅ほど、朝食にご当地要素があるホテルの価値が上がる。
もちろん夜鳴きそばと風呂上がりのアイスも健在。
気になったところ
正直に書くと、駅から徒歩6〜7分は「駅近」と言い切るには微妙だった。荷物を持って歩くと体感はもう少し長い。場所も大通りから一本入っているので、初見だと少し迷う。
部屋自体は標準的なビジネスホテルの広さで、ここに特別さはない。このホテルの価値は完全に風呂と朝食に振り切られている。そこに価値を感じないなら、岡山駅前にはもっと安い選択肢がある。
そして、最近ドーミーイン高すぎ問題
今回は土曜日とはいえ、朝食付きで15,750円。バースデークーポンを使ってこの値段。もうビジホとは言えない。
そしてすでに知っているとは思うが、同じ部屋・同じ日程でも、予約サイトによって値段がまったく違った。
ポイント還元やクーポンまで含めると、どこが最安かは日程によって入れ替わります。「見比べないのは損」というのが本音。
ドーミーイン岡山
- 【Agoda】ドーミーイン岡山
- 【じゃらん】ドーミーイン岡山
- 公式サイト(ドーミーイン岡山)
倉敷のドーミーインという選択肢
もうひとつ。倉敷のドーミーインは、岡山より3,000円ほど安かった。
今回は「市内に泊まっておくと便利なのでは」となんとなく岡山を選んだけれど、倉敷に泊まって翌朝JRで岡山に出る、という組み方も十分アリだったと思う。岡山〜倉敷はJRで20分ほどなので、翌朝の後楽園にも問題なく間に合う。
初日に倉敷を歩くなら、そのまま倉敷に泊まってしまうほうが移動も減ります。自分は往復してしまったので、その分は素直に無駄でした。
ドーミーイン倉敷
- 【Agoda】ドーミーイン岡山(倉敷)
- 【じゃらん】ドーミーイン岡山(倉敷)
- 公式サイト(ドーミーイン倉敷)
岡山と倉敷、両方の値段を見てから決めるのがおすすめ。 3,000円あれば、その日のごはんがだいぶ良くなります。
※ドーミーインは大体公式サイトが一番安いです。
2日目|岡山城はさらっと、後楽園はしっかり
帰りが12:20発。逆算すると11時には岡山駅に戻っていないといけない。使える時間は朝の2時間半だけだった。
岡山城は「ちょこっと」で十分だった

後楽園のすぐ隣が岡山城なので、まず立ち寄った。ただ中には入らず、外観を見るだけにした。
ここ、後から調べて納得したのだが、岡山城の天守は9:00開館。つまり、朝いちで動く人は、そもそも岡山城に入れない。
僕の場合、9時まで待って城に入ると、後楽園を歩く時間が半分になっていた。それなら外から眺めて後楽園に全部使うほうがいい、と判断した。黒い下見板張りの天守は、外から見るだけでも十分にかっこいい。
完全に好みの問題なので、城好きなら迷わず入るべきだと思う。ただ、「全部行かないともったいない」という発想は、正味20時間の旅だと逆に損をする。

岡山城と後楽園を結ぶ橋からは「川を流れる桃」を見れます。つまり桃太郎になることができるのです?
後楽園は朝がいい(日本三名園)

行って思ったのは、後楽園は写真で見るより実物のほうがずっと良いということ。写真だと「広い芝生」でしかないのだが、実際に立つと、芝生の向こうに岡山城の黒い天守が見えて、その関係性がすごくいい。庭が城を借景にしているというより、庭と城で一つの絵になっている。
そして朝いちだったので、人がほとんどいなかった。観光バスが着いたあとの後楽園とは、まったく別の体験になっているはずだ。
帰りが昼便だと、必然的に朝いちで後楽園に行くことになる。これは制約ではなく、むしろ得をしていると思う。
岡山駅から後楽園まではバスが出ています。歩いても30分ほどの記憶なのでお好きな方で。
コラム|「微妙な時間の便」は、羽田をくれる便でもある
これは岡山の話ではないのだが、どこかにマイル関連で書いておこう。
予想外に良かったのは、羽田空港をゆっくり歩けたことだった。
普段、旅をしようとすると勿体無くて行きが朝の便か帰りが夜遅い便になる。早は駆け込んでそのまま搭乗、夜はもうお店が閉まっている。羽田を「空港施設として」味わう時間がまったくない。
今回は行きが14:30発、帰りが13:40着。どちらも余裕のある時間だったので、展望デッキに出たり、店を見て回ったりする時間があった。空港が好きな人なら分かると思うが、これは普通に楽しい。
出発前は「フライトの時間が微妙だな」と思っていた。でも、自分で選んでいたら絶対に取らなかった時間帯だからこそ、普段は手に入らない時間が手に入った。
羽田発の飛行機旅は他にもいろいろ試したので、日数別にまとめた記事もどうぞ。
どこかにマイルで岡山が当たった人へ、5つの結論
- 夕方着なら倉敷で買い物はできない。 デニムもマステも店じまい。町並みと写真に目的を切り替えれば満足度は高い。
- 宿は倉敷ではなく岡山市内。 翌朝の後楽園への動線と、空港へのアクセスがまるで違う。
- 岡山城は外観だけで削っていい。 その時間を後楽園に回すほうが記憶に残る。
- 朝の後楽園は大当たり。 昼便で帰る人が自動的に手に入れる、いちばんおいしい時間帯。
- 欲張らないこと。 正味20時間で4スポットは「見た」しか残らない。2スポットなら「良かった」が残る。
まとめ|「選ばなかった場所」に、「選ばなかった時間」で行く
どこかにマイルの本質は、安さよりも「自分では選ばない場所に、自分では選ばない時間で行かされること」だと思う。
岡山は、自分で行き先を選んでいたら、たぶんあと5年は行かなかった。14:30発の便も、自分では絶対に取らなかった。
でも実際に行ってみたら、人のいない夕方の倉敷川も、朝の誰もいない後楽園も、時間の余った羽田も、全部はっきり記憶に残っている。行き先も時間も選べないという制約が、結果的に普段の旅では手に入らないものをくれた。
しかも通常なら15,000マイル必要な便に、7,000マイルで乗っている。
テンションの上がらなかった当選メールが、結果的にいちばん良い旅になった。



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